2008年5月27日火曜日

ニューオリンズ風ジャンバラヤ

今日はメモリアルデーで、私の会社はお休みだ。しかし残念ながら、夫は仕事に行かなければいけない。そこで、彼よりも1時間ほど早く起きて、「ニューオリンズ風ジャンバラヤ」を作ることにした。ジャンバラヤといっても、調味料が全て揃ったパッケージがあったので、とても簡単だ。まず、沸騰したお湯と油の中に、小さく切ったソーセージと冷凍の玉ねぎ、ピーマンを入れる。もう一度沸騰するのを待って、米とスパイシーな調味料が混ざったジャンバラヤのパッケージを鍋の中に放り込む。米が柔らかくなるまで30分ほど炊けば、出来上がりだ。これを夫のお弁当に入れ、残りをブランチとして食べた。スパイシーな炊き込みご飯といったところだろうか。夫もおいしいと言って食べ、お弁当に持っていった。

2008年5月23日金曜日

会社のランチ

 私の会社は、年に何度か、社員に無料で昼食を振る舞うことがある。大抵はクリスマスだとか、独立記念日等の祝日前に行われることが多いのだが、たまに「○○部の誰々さんが、今週の金曜日、ご自慢のバーベキューを作ってくださる予定です。そこで、各部署でサイドディッシュを用意し、ポットラックパーティーをしましょう」という時もある。このバーベキューポットラックパーティーの時は、「私はポテトサラダを持参します」とか、「ココナッツケーキとチョコレートケーキとどっちがいい?」等といった社内メールが次から次へと舞い込んだ。私が「寿司を持参するつもり」とメールすれば、「私は刺身が食べられない」とか、「新しいものに挑戦することはいいことだ」等といったコメントが、瞬時に返ってくる。ポットラックパーティーで持参する料理は、普段どういった食事をしているか、その人となりを垣間見せるもので、皆の張り切りようは、かなりのものだった。ほとんど、「パーティーにどんなドレスを着ていくか」といった問題に近いのではないかと思う。

 さて、今日はこのフリーランチの日であった。きっと来週の月曜日のメモリアルデーのためであろう。掲示板には、「駐車場でハンバーガー」と張り紙がしてある。会社ランチの日は、いつも朝からそわそわした気分になる。お弁当を持ってこなかったので、ランチを食べ逃すのは困る。しかし、他の人がまだ仕事をしているのに、自分一人が先に食事にありつくようなことはしたくない。そこで、周りの動きに気を配り、ちょうどいいタイミングを見計らって、席を立たなければならない。しかし、今日は朝から雨が降っていた。ついでに言えば、雷も鳴っていた。こんな天気でまだ外でピクニックなどと言っていられるのだろうかと思ったが、ランチの時間が近づいた頃には雨も上がり、会社の駐車場にはケータリングのハンバーガー、ポテトサラダ、ポークビーンズ、ポテトチップスと飲み物がテーブルの上に並んでいた。食べ物を受け取る列の中で待っている間、我が社恒例の「くじ引き」が行われた。このくじの賞品は、「映画鑑賞券」とか、「フットボールのチケット」とか、「ガソリン券」等が多いのだが、今回は「ビーチセット」で、当たった人のバッグの中には、ビーチタオルやサングラス等が入っていた。こういった、福利厚生を兼ねたくじ引き大会は、社員の労働意欲を向上させるいい機会であると思う。

 さて、私の番になり、盛り付けをしてくれるケータリング会社の社員が「チキンにしますか、バーガーにしますか」と聞く。チキンは容器の中にあり、どんな様子か見えなかったので、目の前にあった「ビーフ」にすることにした。私は普段、鶏肉を家で食べることが多いので、ハンバーガーでいいだろうと思った。そして、中に挟むトッピングを自分で選ぶ。私は、トマトとピクルスとレタスをハンバーガーの上に載せたが、レタスが大き過ぎて、パンの中に入り切らない。ポテトサラダとポークビーンズも皿に盛り、アイスティーとポテトチップスの袋をつかみ、事務所に戻った。

 出入り口の通路には、社員が持ち寄ったデザートがテーブルの上に並んでいた。既に両手が塞がっていたので、後で戻ることにし、とりあえず自分のオフィスに行くことにする。しかし、大きなテーブルで同僚達が既に食事を始めていたので、そこに加わることにした。席に着き、まずハンバーガーを食べようと思ったが、大き過ぎて齧り付くことができない。それに、パンがポークビーンズとポテトサラダが付いて柔らかくなり過ぎ、食べる気がしなかった。アメリカ人は、ハンバーガー大国に住んでいながら、意外とこのハンバーガーのバンズに気を使わないのだ。もう少しおいしいパンを使えば、もっとおいしくなると思うのだが、贅沢を言う訳にもいかない。結局、バンズを食べずに、ハンバーガーと野菜を別々にフォークで食べた。トマトとレタスは新鮮で、野菜そのものの味と甘みがする。ハンバーガーもファーストフード店で食べる物よりもおいしい。ポークビーンズとは、バーベキューソースのような味付けの白い豆に豚肉が入っている料理で、大抵は甘い味付けなのだが、このポークビーンズはピリッと香辛料の刺激があった。アメリカのポテトサラダのジャガイモは、1センチくらいに角切りされており、日本の物のように潰されていない。スーパーのお惣菜コーナーのポテトサラダは、マスタードやセロリの香りがきつ過ぎるものが多いが、このポテトサラダは、さすがケータリングの特製だけあって、程よい味加減がおいしかった。これらの食事を、同僚らと一緒にワイワイと言いながら食べた。このメモリアルデーの三連休はどのように過ごすかとか、他愛ない会話であったが、同じ年頃の女の子達と話をするのは、夫との会話とは違う楽しみがある。それに仕事の話は、やはり一緒に働く者同士でなければ理解できないものだ。

 同僚のデザート皿を見つめながら、さっきデザートを仕入れて来なかったことを思い出し、デザートテーブルに戻る。今回は雨が降り、昼食会をするかしないか定かではなかった人が多かったのか、あまりテーブルには種類がなかった。去年のクリスマスのランチ(会社の忘年会と言ってもいいと思うが)では、「デザートコンテスト」が行われ、審査員の投票により順位が決定された。こういった社内行事は、会社に活気を与える良い刺激となるものだ。私はライムクリームが上に載ったピスタチオケーキを選び、再び席に戻った。ライムの香りがさわやかで、甘すぎないのが良いと思った。こうして静かに半時間ほどを過ごし、また仕事に戻った。

2008年5月19日月曜日

ほうれん草とツナのパスタ

 日曜日の朝、なんだか早くに目が覚めてしまった私は、ごそごそとベッドから抜け出すと、前日夫に予告しておいた「クリーミーツナパスタ」を作ろうと、キッチンのキャビネットを開けた。棚一杯に詰まった加工食品のボックスや缶詰の中から、目当ての「ツナヘルパー」を見つけ出し、前日ファーマーズマーケットで買った、ほうれん草のパッケージを上機嫌で開ける。自分でも訳が分からないが、ほうれん草のパッケージを開けるときは、いつもわくわくする。なんだか、ニューヨークのカフェなどで売られている、今どきのヘルシーなサンドイッチといったイメージだからだろうか。このほうれん草を電子レンジで1分半加熱し、水にさらした上で絞った。ほうれん草から黒い汁が抜け出す。渋みを持つ汁を抜いたことで、パスタもきれいな色が保てるし、何しろ苦味が消える。こういったひと手間かけることで料理の味に違いが出てくるのだが、忙しい週日は、ひと手間かけるどころか、料理すらできないことが多いので、こうやって時間をかけて料理できること自体が、幸福で満ち足りた気分にさせてくれるものだ。

 こちらの番組に、サンドラ・リーという女性がホストを勤める「セミ・ホームメード」というのがある。彼女の料理のコンセプトは、材料を全て一から揃えなくとも、スーパーで売っている加工食品を上手に使い、少しだけ手を加えれば、時間もお金も節約でき、しかもおいしい料理ができるというものだ。私は、全てを加工食品や調理済み野菜のパッケージに頼るのは好きではないが、チーズやハーブ、調味料などが一つになったパスタなどのパッケージは良く使う。確かに高いチーズやハーブなどを買い揃えるよりも、安く上がるというものだ。この日は、「ツナヘルパー」の「クリーミーツナパスタ」にほうれん草を加えてみた。クリーミーなチーズとほうれん草、ツナがうまく混ぜ合わさり、予想通りにおいしかった。

2008年5月18日日曜日

ピクニックのピザ

 オフィスでコンピューターに向かい仕事をしていた私に、夫から電話がかかってきた。
「今日は天気がいいから、公園でピクニックしよう。」
特別スケジュールで働く夫は、週日に休みを取ることが多く、こうして職場にいる私にランチの誘いをかけることがある。彼は7日間連続で働いたばかりで、最近ろくに話をする時間もなかった。久しぶりのランチデートで会社の駐車場まで迎えにきた彼の車に乗り、私たちは近くの公園に行くことにした。

 散歩道をジョギングしている人たちに混じり、同じ部署の同僚達が話しながら歩いているのが見える。私たちは駐車場に車を止め、さんさんと太陽の光が降り注ぐ野球観戦用ベンチに腰を下ろした。シルバーのベンチに跳ね返る太陽の光があまりにも眩しく、夫のサングラスをはめた私は、彼が持参したドミノピザの箱を開けた。中にはミディアムサイズのペペロニピザが入っていた。私の好物の具ではなかったが、あまり塩気が強くなく、舌に感じる手作りの生地が、意外にも新鮮でおいしかった。この雰囲気がおいしくさせるのかもしれない、若葉の緑が目に映える初夏の公園で、同じようにピクニックを楽しむ人々を見ながら、そう思った。ドリンク2つ付きで8ドル55セントのピザでも、息が詰まるオフィスから抜け出し、夫と共に太陽の下で食べれば、特別な味に思えるのだ。夫は、仕事について語り出した。新しいシステムが会社に導入され、全ての出荷が瞬時にコンピューターに記録されるようになったらしい。便利なように聞こえるが、つまらない操作ミスで仕事がなかなか前に進まない苛立たしさに、彼はいつもにも増して弁舌になっていた。7日間も連続で働けば、ストレスも倍増するというものだ。心地良い風が吹く開放的な公園と対照的な話は、どこか遠くで起こったことのように聞こえた。あまりにものどかで、平和な風景。緊張感が続く生活の中で、こういった人間として息を吹き返す時間は、必要だ。

 仕事を終え、車で家路に向かう途中、夕食のメニューを考えた。ファーマーズマーケットで買ったキュウリを今日中になんとか使い切りたい。日本から持ってきた「バンバンジーの素」で鶏肉とキュウリの和え物を作ろう。そんなことを考えながら家の玄関を開けると、夫がキッチンにいた。最近、会社の社員価格で彼が買った、豚肉のステーキがオーブン板に載っている。
「これをオーブンで焼こうと思っているんだ。」
この彼の一言で、私の頭の中で描いていた献立が一気に変った。
「じゃあ、私がサラダを作るね。」
バンバンジーになる予定だったキュウリをスライスし、人参をすり下ろし、この上にチーズとクルトンを載せ、夫の食品会社のランチドレッシングをかける。夫は冷凍食品のブリートをオーブントースターで焼いた。彼は、パリッとした歯ざわりを好むので、電子レンジよりもオーブントースターをよく使う。

 オーブンから出されたポークステーキは、バーベキューソースとイタリアンソースの匂いを漂わせながら、こんがりおいしそうに焼けていた。このステーキを夫が切り分け、サラダとブリートと共に皿の上に盛った。冷蔵庫の有り合せの材料で作ったにもかかわらず、なかなか豪華な夕食となった。店頭に並ぶことなく農家から直接届けられた豚肉は、柔らかく甘かった。これが、夫が言っていた「新鮮さが違う」ということなのか。普段スーパーで買う豚肉とは、比べ物にならないほどおいしい。食料品会社に勤める夫の存在に感謝しなければならない。ピクニックのピザといい、夕食のポークステーキといい、夫との食事に満足な一日であった。